2020.09.04 「Salesforce - Summer '20 新機能をチェック(3):Service Cloud 編 (+ Winter '21 Sandbox プレビューの案内)」
≪ 2020.08.20 「Salesforce - Summer '20 新機能をチェック(2):Sales Cloud & Lightning Platform 編」
2020.09.18 「Salesforce - Summer '20 新機能をチェック(4 - 最終回):Community Cloud & 開発者編 」 ≫
お世話になっております。
ウフル カスタマーサポート Salesforce 担当の 後藤 でございます。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
Summer '20 新機能のシリーズをお送りしておりますが、早いもので、次のメジャーバージョンアップになる「Winter '21」がアナウンスされました。
Summer '20 は、皆様ご存知の通り1ヶ月少々の後倒しでリリースされましたが、Winter '21 は当初の予定通り、9月中旬に Sandbox プレビューが開始され、10月中旬に本番環境にもリリースされます。
* Winter '21 Sandbox プレビューに参加するには
Winter '21 Sandbox プレビューのお知らせ
https://help.salesforce.com/articleView?id=000354530&language=ja&mode=1&type=1
新機能リリースで知っておくべき4つのアクション ~Winter ’21
https://successjp.salesforce.com/blog/function-guide/CSG-0000053
Winter '21 Sandboxプレビュー期間 (AP* インスタンスに紐づくCS* インスタンス):
2020年9月13日 から 2020年10月18日(日本時間)
Sandbox プレビューに参加する方法(& 参加を回避する方法)を改めて確認しましょう。
【新規 Sandbox で参加する場合】
9月12日午前4時(日本時間)までに Sandbox を作成します。
一点ご注意いただきたいのが、「この時間までに Sandbox の作成が完了していること」が条件になります。
この時期は多くのお客様が Sandbox 作成および更新のリクエストを行うため、待機キューに多くのリクエストが配置されることになり、リクエストしてから Sandbox の作成が完了するまで時間が掛かります。(過去、リクエストから完了まで2日掛かったという事例もあります!)
そのため、Sandbox プレビューに参加される場合は、早めの Sandbox 作成を強くお勧めします。
【参加しない場合、および一旦参加した Sandbox プレビューを取り消す場合】
Sandbox プレビューによって Winter '21 にバージョンアップされたのちも、諸事情によって Summer '20 環境に戻す必要が生じる場合もあります。
例えば、変更セットの本番環境へのリリースを行う組織(いわゆる "Staging" もしくは "UAT 環境")では、本番組織とバージョンが違うことにより、Apex クラスや Visualforce ページ、Lightning Web コンポーネントなどのリリースに支障をきたすことがあります。
その場合、9月12日午前5時以降に Sandbox をリフレッシュすることで、Summer '20 のバージョンに戻すことができます。
もちろん、10月18日の本番環境への Winter '21 リリースで、全ての Sandbox も同時に自動バージョンアップされます。
ご注意いただきたいのが、Sandbox プレビュー実施期間中に Sandbox をリフレッシュすると、強制的に Summer '20 環境となるため、一旦リフレッシュすると Winter '21 環境にする方法が一切ないという点です。
【既存 Sandbox で参加可能か確認する方法】
本番環境にリリースしていない設定が残っているなどの理由で、Sandbox のリフレッシュができないという場合も多々あるかと思われます。
その場合、現在の Sandbox がどのインスタンスに属しているか確認することで、リフレッシュせずにそのまま Sandbox プレビューに参加できる可能性があります。
冒頭に記載した Salesforce 公式ヘルプを参照し、当該 Sandbox のインスタンスが "どちら側" になるかを確認したうえで、以下のアクションを取ります。
<プレビュー対象インスタンスの場合>
「参加する場合: リフレッシュしないでプレビュー開始を待つ」
「参加しない場合: 期限後にリフレッシュする」
<プレビュー非対象インスタンスの場合>
「参加する場合: 期限前にリフレッシュする」
「参加しない場合: そのままにする」
お客様の環境で、構築やカスタマイズした部分がバージョンアップ後も正しく動作するかどうかを確認するという意味でも、Sandbox プレビューは大きな意味を持ちます。
特に Visualforce や Apex などのプログラム開発を導入している場合、もしくはコミュニティでゲストユーザにデータの公開をしている場合などは、バージョンアップによって従来使用してきた機能が仕様変更により挙動に相違が生じる可能性も高いですので、Sandbox プレビューへの参加を強くお勧めします。
Winter '21 ではいくつかの機能が廃止になります。
機能廃止が組織に影響をもたらすかどうかを Sandbox プレビュー環境でチェックし、プレビュー期間の一カ月弱の間で対策を講じることも重要です。
2020.07.31 「Salesforce - Summer '20 新機能をチェック(1):新機能チェックの前に "直近で廃止になる機能" を確認しましょう 【重要】」
https://csminfo.uhuru.jp/hc/ja/articles/900001980906
* Summer '20 Service Cloud 新機能からいくつかピックアップ
前回に引き続き、Summer '20 新機能のハイライトをご案内します。
今回は Service Cloud 編です。
Sales Cloud & Lightning Platform 編は前回の記事をご覧ください。
2020.08.20 「Salesforce - Summer '20 新機能をチェック(2):Sales Cloud & Lightning Platform 編」
https://csminfo.uhuru.jp/hc/ja/articles/900002240546
リリースノートはこちらからダウンロードいただけます。
https://releasenotes.docs.salesforce.com/ja-jp/summer20/release-notes/salesforce_release_notes.htm
今回ピックアップするのは以下の新機能です。
- オムニチャネルの「状況ベースの業務量モデル」(正式リリース)
- ナレッジの「所有者に基づく共有ルール」(ベータ)
まずは、オムニチャネルの「状況ベースの業務量モデル」についてです。
Service Cloud のオムニチャネルでは、現在アクティブなエージェントが、どれくらいの業務量を割り当てられているかを、スーパーバイザービューでリアルタイムで監視することができます。
今までは、コンソール上でタブを開いていることを「作業中」とみなして、ケースの属性に応じた作業量を積み上げてきましたが、Summer '20 リリースにて、ケースの「状況」など任意の選択リスト項目の値を基に、作業中であるかどうかを判断して、作業量に積み上げるオプションが正式に提供されました。
作業項目の状況に基づくエージェントの業務量の決定 (正式リリース)
https://releasenotes.docs.salesforce.com/ja-jp/summer20/release-notes/rn_omnichannel_status_based_capacity.htm
実際に設定と挙動を見ていきましょう。
「サービスの設定」メニューから「オムニチャネル設定」を開きます。
「状況ベースの業務量モデルを有効化」します。
引き続き「サービスチャネル」を開き、状況ベースの業務量モデルを使用するオブジェクトの設定を開きます。
ケースのほかに、リードとカスタムオブジェクトでも使用できるとのことです。(リリースノートに以下の記載があります)
=======================================================
状況ベースの業務量モデルは、ケース、リード、およびカスタムオブジェクトでのみ使用できます。チャットメッセージングなど、リアルタイム作業項目ではサポートされません。また、Omni-Channel Supervisor コンソールでは、このモデルに関連する一部のデータポイントがサポートされません。
=======================================================
同モデルに対応するオブジェクト(今回はケース ~ タブ名変更機能で「問合せ」に変更しています)にて、サービスチャネル設定に「業務量設定」セクションが表示されています。
業務量モデルを、デフォルトの「タブベース」から「状況ベース」に変更し、状況項目を標準の「状況」に設定します(もちろん別のカスタム選択リスト項目でステータス管理している場合はそちらを選択しても構いません)。
状況項目を選択すると、「完了」と「処理中」の値を指定するダイアログが表示されます。
今回は「対応中」と「現地作業中」を「処理中」に指定し、それ以外は「完了」のままにします。
ケースがユーザ「井上さん」に割り当てられました。
井上さんは状況パスにて「対応中」を選択して「完了としてマーク」をクリックしました。
スーパーバイザービューで業務量を確認します。
業務量が「5%」になりました。
井上さんはケースにメール回答を行い、状況を「顧客待ち」に変更しました。
スーパーバイザービューで井上さんの業務量が「0%」になりました。
オムニチャネル自体については、過去の「知ってるようで知らない Service Cloud」シリーズで簡単ですが触れていますので、そちらも是非ご参考にしてください。
2020.02.07 「知ってるようで知らない Service Cloud:(4)顧客がケースを登録するチャネルにどのようなものがあるか確認する」
https://csminfo.uhuru.jp/hc/ja/articles/900000204343
オムニチャネルは設定項目が非常に多いため、いずれ再度特集を組んで深掘りをしたいと考えております。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
引き続いては、ナレッジの「所有者ベースの共有ルール」です。
こちらは Summer '20 では「ベータリリース」扱いとなっています。
Lightning Knowledge での Salesforce 共有の使用 (ベータ)
https://releasenotes.docs.salesforce.com/ja-jp/summer20/release-notes/rn_knowledge_sharing.htm
Lightning Knowledge のレコード所有者の変更
https://releasenotes.docs.salesforce.com/ja-jp/summer20/release-notes/rn_knowledge_owner.htm?edition=&impact=
現在、ナレッジの共有設定は、「データカテゴリ設定」という、少々特殊な設定によって管理されています。
データカテゴリの操作
https://help.salesforce.com/articleView?id=category_whatis.htm&type=5
- カテゴリグループを作成する
- カテゴリグループ内にカテゴリを作成する
- ナレッジをカテゴリに関連付ける
- ユーザのロール設定でカテゴリグループへのアクセスを定義する
ユーザのロールに対してカテゴリグループへのアクセス権限を付与することで、ユーザがどのナレッジを参照できるかを制御するやり方ですが、取引先や商談などの通常のオブジェクトで用いられる「所有者に基づく共有ルール」とは仕組みが違うため、アクセス権管理にて、どのように設定するのか戸惑うユーザが続出しました。(ここだけの話、私も戸惑いました。)
そもそもナレッジには「所有者」という概念がありませんでした。
今回のベータリリースで、ナレッジに「所有者」の概念を付与することにより、以下のことが可能になります。
- 所有者のロールやグループ、および特定の条件に基づく共有ルールの設定
- ナレッジ所有者の管理、および所有権の移行
所有者や条件に基づく共有ルールは、取引先や商談など一般的なオブジェクトの共有設定とほぼ同じものになります。
デフォルトの共有設定は、内部ユーザに対しては「参照/更新可能」、外部コミュニティユーザに対しては「非公開」となります。
内部ユーザに対して一部のユーザを「参照のみ」としたい場合は、共有設定を「参照のみ」に変更し、共有ルールで特定のユーザやロールに対して「更新可能」権限を付与します。
注意点は2つあります。
機能有効化は任意で行えません。Salesforce サポートへの問合せが必要になります。
(弊社でご契約のお客様は、弊社経由で申請を行います。)
所有者や条件に基づく共有と、従来のデータカテゴリによる共有は併用できません。
有効化した場合、所有者や条件に基づく共有が優先されます。
但し、記事の分類や検索条件としては引き続きデータカテゴリが使用できます。
リリースノートに記載がある通り、コミュニティを使用している組織で、外部ユーザ、特に大規模カスタマーポータルユーザやゲストユーザに記事の公開を行っている場合、共有ルールではこれらの外部ユーザを対象とした設定はできないため(ロールの概念が無いため。ロールをサポートしている Customer Community Plus ライセンスでは設定可能です)、従来のデータカテゴリを使用した共有を継続して使用することが推奨されています。
==================================================
対象ユーザ:
組織でこの機能を有効にするには、Salesforce サポートにお問い合わせください。共有のベータバージョンはすべての組織に適切とは限りません。制限事項を確認し、不明な場合は Sandbox 組織で共有を試してください。たとえば、ゲストユーザや大規模ユーザと記事を共有するルールは作成できません。ゲストユーザや大規模ポータルユーザと一部の公開記事のみを共有しようとしている組織では、共有を使用しないことをお勧めします。
==================================================
いきなり本番組織に有効化するよりも、リリースノートの記載通り、一旦 Sandbox に先行して有効化を行い、十分に評価を重ねたうえで、本番運用を検討するのが賢明かと思われます。
(この考え方は、有効化が必要な他の新機能にも等しく言えることです。)
===========================================================
Summer '20 がリリースされて一息ついたら、次の Winter '21 のリリースが案内され、時間経過の早さに戸惑っております。
新機能のフォローと同等かもしくはそれ以上に、「リリースによる既存機能への影響」への考慮も重要であると言えます。
Sandbox プレビュー期間は、リリースの影響を評価する重要な期間ですので、プログラム開発や大規模カスタマイズを導入している組織はもちろんですが、Sales Cloud や Service Cloud の標準機能を基本的に使用している組織においても、「機能無効化の影響」を確認するためにも、是非 Sandbox プレビューを活用していただければと存じます。
ご不明点は遠慮なくお知らせください。お客様の疑問は我々カスタマーサポートにとって「貴重な財産」です。
今後ともウフル カスタマーサポートを引き続きご愛顧いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
コメント