2020.08.20 「Salesforce - Summer '20 新機能をチェック(2):Sales Cloud & Lightning Platform 編」
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お世話になっております。
ウフル カスタマーサポート Salesforce 担当の 後藤 でございます。
3週間ぶりのご無沙汰です、 お盆の期間、皆様いかがお過ごしでしたでしょうか。
首都圏は新型コロナウィルスが再びぶりかえしてきたため、弊社も再び原則的自宅勤務となり、特に8月に入ってからの急激な猛暑のため、私個人も自宅から外出する頻度が極端に少なくなってしまいました。
(先日健康診断を受診した際、かなりショッキングな結果を受けてしまいました・・・自宅でも可能な運動を考えないと・・・)
こんな状況こそ、Salesforce のスキルアップを図っていきましょう。
前回も述べたとおり、延期となっていた Summer '20 がようやくリリースされました。
リリースノートはこちらからダウンロードいただけます。
https://releasenotes.docs.salesforce.com/ja-jp/summer20/release-notes/salesforce_release_notes.htm
新機能の概要については、前回の記事の後半でリストアップいたしましたので、併せてご覧いただけますでしょうか。
2020.07.31 「Salesforce - Summer '20 新機能をチェック(1):新機能チェックの前に "直近で廃止になる機能" を確認しましょう 【重要】」
https://csminfo.uhuru.jp/hc/ja/articles/900001980906
今回は新機能のなかから、以下のものを、実際に使用してみた上で簡単に解説させていただきます。
- Dynamic Forms (動的フォーム) - 非公式プレビュー
- Dynamic Action (動的アクション) - ベータ
- アプリケーション内ガイダンスの複数ステップウォークスルー
* Dynamic Forms (動的フォーム) - 非公式プレビュー
従来の Salesforce のウィークポイントとして、「動的なインターフェースに弱い」という点が挙げられていました。
「状況に応じて画面のレイアウトを切り替え、表示する項目を切り替える」というアクションを実装するには、以下の "面倒な手順" を踏む必要がありました。
- 2つのレコードタイプを用意する(変更前、変更後)
- ページレイアウトもそれぞれ用意して、レコードタイプに割り当てる
- レコード保存時に条件を満たした場合に発動する「レコードタイプの項目自動更新」を、ワークフロールールまたはプロセスビルダーで構築して有効化する
しかも、ワークフローやプロセスは、いずれも「レコードを保存した」タイミングで発動するので、レコードタイプの切り替え(およびそれに伴うページレイアウトの切り替え)は、あくまでも「レコードの保存後」に行われ、「レコードの編集中に値を切り替えた際に、編集画面を動的に切り替える」ことはできませんでした。
実装するには、Visualforce でコードを用いて画面を開発し、挙動の制御を Apex で行うことが必須となっていました。
この制限については、以前から多くのユーザから機能改善リクエストが多く寄せられており、Lightning Experience がリリースされた際にも、「今まで Salesforce Classic だからこその制限があったのだとすると、LEX ではいずれ実装されるのでは?」と期待の声が上がり、そして数年が経過し・・・
・・・この「編集中に画面の表示項目を動的に切り替える」機能が、Summer '20 にて、「非公式プレビュー」という形ではありますが、ようやくリリースされました。
Break Up Your Record Details with Dynamic Forms (Non-GA Preview)
(※ 日本語訳が間に合わなかったとのことで、日本語版リリースノートには記載がなく、今のところは英語版のみとなっています。日本語での資料については、Winter '21 を待ちましょう。)
「非公式プレビュー」は、「ベータ版」と違い、申請をすることなく全てのユーザが使用可能で、通常の新機能と同様に使用することができますが、以下の制限があります。
- サポートの対象外(問合せをしても原則回答提供無し)
- 正式リリースの際に仕様が変更される可能性がある
しかしながら、サポートが無いということは、「一切の問合せができない」というわけではありません。
Trailblazer Community (Salesforce のユーザコミュニティ: Trailhead アカウントでログインします) のユーザフォーラムにて、「リリースノートの記載とは挙動が違うのでは」「この挙動について、更に改善できるのでは」という、いわゆる「報告や意見ベース」の投稿は可能となっています。
「非公式プレビュー」は、「正式リリース前の最後のブラッシュアップ」期間とも言えます。
先日 Salesforce のウェビナーを受講した際も、講師の方より「どんどん使って、ご意見は積極的に Trailblazer Community にお寄せください、それにより正式リリースの際に機能が更に充実しているかもしれません」的なコメントがありましたので、お客様も是非使用していただき、使い勝手の評価をしていただければと思います。
実際に使用してみたので、レビューをさせていただきます。
機能を有効化する動線は、「Lightning アプリケーションビルダー」の、Lightning レコードページの作成および編集画面が起点になります。
レイアウトに「レコードの詳細」コンポーネントをドロップすると、右側の作業フィールドに「アップグレードに関する問合せ」ボタンが表示されます。
クリックすると「動的フォーム」ポップアップが表示されます。
説明をひととおり読んだら「次へ」をクリックしましょう。
「動的フォームのソースを選択」にて、読み込む対象のページレイアウトを選択します。
「完了」をクリックすると、レコードページにて動的フォーム機能が有効化されます。
「特定の条件を満たした場合に表示する」項目を選択して、条件を指定します。
今回は「クローズ確認コメント」というテキストエリア項目を、「状況」選択リストで「クローズ確認中」が選択された場合のみ「必須項目として表示する」ように設定します。
設定を保存してレコードページの割り当て有効化が完了したら、実際の挙動を確認しましょう。
こちらは「案件管理」レコードのサンプルです。
状況が「対応中」なので、「クローズ確認コメント」は表示されていません。
状況を「クローズ確認中」に変更してみましょう。
テキストエリア「クローズ確認コメント」が表示されました。
必須項目に設定したので、赤い枠が表示され、入力するよう促されます。
長い間 Salesforce を使ってきたユーザにとっては夢のような、動的な項目の表示コントロールが、コード開発も複雑な設定も一切不要で実現できました。
* Dynamic Action (動的アクション) - ベータ
続いては、項目値が特定の条件を満たした際に、画面右上に表示されるアクションボタンの表示を切り替えるという機能、「動的アクション」をご紹介します。
こちらは、動的フォームの「非公式プレビュー」よりもう一段階手前の「ベータリリース」です。
とはいえ、申請は必要なく、設定画面上で有効化することで誰でも使用できます。
こちらも日本語版リリースノートはまだ用意されておらず、英語版のみとなっています。
Add Dynamic Actions to the Highlights Panel for Custom Objects (Beta)
https://releasenotes.docs.salesforce.com/en-us/summer20/release-notes/rn_lex_dynamic_actions.htm
有効化の動線は、動的フォーム同様に、Lightning レコードページ編集画面上にあります。
「強調表示パネル」コンポーネントをドロップすることで、右側のプロパティ画面に「動的アクションを有効化(ベータ、デスクトップのみ)」チェックボックスが表示されます。
(※ ステータスが「非公式プレビュー」ではなく「ベータ」なのは、「モバイル未対応」が関係しているかもしれません。)
設定手順は、動的フォームのときと似た感じで、アクションに対して条件を指定する形を取ります。
今回は「承認申請」アクションボタンの表示をコントロールします。
動的フォームの例と同じように、「状況」が「クローズ確認中」の場合に表示するようにします。
「承認申請」アクションに対して、「状況」が「クローズ確認中」の場合のみ表示するよう設定しました。
ちなみに、強調表示パネルの表示は、項目はページレイアウト設定の「コンパクトレイアウト」、アクションボタンはページレイアウト設定の「モバイルおよび Lightning Experience のアクション」から取得します。
表示を制御したいボタンがリストに表示されない場合は、ページレイアウト設定を確認しましょう。
なお、動的アクションを有効化すると、強調表示パネルのアクションボタンは一旦すべて非表示になります。
「承認申請」以外の通常のボタン(「編集」「コピー」「削除」など)についても、「アクションを追加」から手動で一つ一つ追加する必要があります。
(検索条件を指定しなければ、無条件で常時表示の扱いになります)
設定を保存したら挙動を確認しましょう。
案件管理レコードを作成した直後の、状況が「対応中」の状態です。
「承認申請」ボタンは表示されていません。
「状況」を「クローズ確認中」に変更します。 「クローズ確認コメント」が表示されてきました。
保存してみると・・・
・・・「承認申請」ボタンが表示されました。
「動的フォーム」で「クローズ確認コメント」の入力を必須とすることで、より効率的な承認プロセスの制御ができそうですね。
ちなみに、動的フォームと動的アクションを実装したレコードページが、Salesforce Classic ではどうなっているかというと・・・
・・・何の変化もありませんでした。
状況は「対応中」ですが、「クローズ確認コメント」テキスト項目も「承認申請」ボタンも隠されることなく表示されています。
これらの機能を使用するには、「Lightning Experience への完全移行」が強く推奨される、ということになりそうです。
* アプリケーション内ガイダンスの「複数ステップウォークスルー」 - 正式リリース
続いては、もう一つの目玉機能、アプリケーション内ガイダンスの「複数ステップウォークスルー」です。
こちらは「正式リリース」となっています。
「複数ステップ」の名の通り、ポップアップやガジェットの画面で「次へ」をクリックすることで、複数の画面にわたる説明により、よりわかりやすいガイダンスの展開が可能になります。
正式リリースですが、ライセンス面での使用条件があります。
- myTrailhead ライセンスが必要になります。
- myTrailhead ライセンスを持たない組織では、30日間のトライアルとしての機能提供になります。
アプリケーション内トレーニングの複数ステップウォークスルーの作成
https://releasenotes.docs.salesforce.com/ja-jp/summer20/release-notes/rn_customhelp_wt.htm
今回は「30日間のトライアル」にて機能を試してみました。
機能有効化の動線は、設定メニューの「アプリケーション内ガイダンス」になります。
「ウォークスルートライアルを開始」をクリックします。
(myTrailhead ライセンスが有効な組織では恐らくボタン自体が非表示になるのではと思われます)
使用許諾に同意して(右下の「送信」をクリック)、使用を開始します。
アプリケーション内ガイダンスビルダーを立ち上げます。
(このインターフェースも Summer '20 でリリースされたもので、他の「ビルダー系」(Lightning アプリケーションビルダーや Community エクスペリエンスビルダーなど)と画面の構造が共通化され、より直感的な操作が可能となっています。
「ウォークスルー」を選択します。
プロンプトの設定自体は、ウォークスルー導入前と変わりなく、タイトルと本文、必要に応じて「閉じる」ボタンの名称変更の入力になります。
「ウォークスルーならでは」なのが、右上の「ステップの追加」ボタンです。
ステップ2以降はここから追加します。
今回は2ステップのシンプルなものとしましたが、必要に応じて10ステップまで追加できます。
ステップの設定が終わったら「保存」をクリックします。
「アクション」メニューで、必要に応じて「最終ステップで特定のページに遷移するリンクボタン」の設定を行います。
「スケジュール」で、「いつからいつまでガイダンスを表示するか」「期間内何回まで表示するか」「2回以上表示する場合、何日おきに表示するか」を指定します。
特定のユーザにのみ表示させたい場合は、対象のプロファイルおよび権限セットを指定します。
有効化したら、挙動を見てみましょう。
先ほどの動的フォームやアクションで使用した「案件管理」オブジェクトで、レコードをひとつ作成して保存しました。
保存直後の画面で早速最初のフロートプロンプトが表示されました。
(ちなみに、先週も触れましたが、プロンプト右側のハンドルをドラッグすることで移動ができるようになっています。)
「次へ」をクリックすると二番目のプロンプトに切り替わりました。
先ほど「閉じる」ボタンを「理解しました」と名称変更しましたが、これは「スキップ」ってした方がより分かりやすい気がしました。
「最後のステップ」も、今回は「案件管理ホーム」画面に遷移するようにしましたが、もし社内サイトで運用ガイドを展開している場合、そちらへ遷移するようにしてもよいかもしれません。
(リンク先は Salesforce 組織外にも絶対パスで指定できるので、Google Sites などで運用している場合にも有効です)
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Summer '20 新機能の紹介、如何でしたでしょうか。
今回紹介した機能は、ユーザに対して「より直感的な」オペレーションを提供するものだと思いました。
操作性の向上は、Salesforce 定着化の鍵を握る重要な要素ですので、まだプレビューやベータの機能が中心ではありますが、今後運用の際に活用できるよう、社内特定部門での先行リリースなどで、先んじて機能に触れておくとよろしいかと存じます。
次回(翌々週を予定しています)は、Service Cloud および Community Cloud の新機能からいくつかピックアップしてご案内する予定です。
今後ともウフル カスタマーサポートを引き続きご愛顧いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
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