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2020.06.26 「Einstein AI で Salesforce は進化する:(7 - 最終回) Sales Cloud Einstein - 生産性向上の鍵は AI にあり(後編)」

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2020.07.03 「Salesforce のセキュリティ機能について:(1)データセキュリティの基本機能とプラットフォーム暗号化による拡張」

 

お世話になっております。
ウフル カスタマーサポート Salesforce 担当の 後藤 でございます。

 

皆様いかがお過ごしでしょうか。

6月も下旬になり、都道府県を跨いだ往来自粛要請も解除され、プロ野球も2ヶ月半遅れで開幕し、学校も再開したことで電車の中に学生さんも戻ってきました。 そろそろ弊社オフィスも人が増え始めてきて、以前の活気が戻りつつあります。

もちろん まだまだ油断はできませんので、"三密" に気を付けて、リモートワークでカバーできる部分を見極めて引き続き対処できればと思っております。

 

さて、集中企画としてお送りしております「Salesforce Einstein」シリーズ、今週で一旦完結となります。

前回の「Sales Cloud Einstein」にて「活動キャプチャ」と「リードスコアリング」について取り上げましたが、後編の今回は「Einstein 売上予測」について取り上げさせていただきます。

 

前回の記事についてはこちらからご覧ください。

 

2020.06.19 「Einstein AI で Salesforce は進化する:(6) Sales Cloud Einstein - 生産性向上の鍵は AI にあり(前編)」
https://csminfo.uhuru.jp/hc/ja/articles/900001398586

 

 

* まず最初に「売上予測」について再確認しましょう

 

Einstein 売上予測に触れる前に、売上予測自体についてのお話から始めたいと思います。
(そういえば、カスタマーサポート通信で売上予測を取り上げるのは初めてですね・・・)

 

Trailhead モジュール
「コラボレーション売上予測のセットアップ > コラボレーション売上予測の使用開始」
https://trailhead.salesforce.com/ja/content/learn/modules/collaborative_forecasts_setup/collaborative_forecasts_unit_1

 

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ところで、売上予測って何ですか? 

よくぞ聞いてくれました。売上予測とは、期待営業収益の表現の一種です。売上予測は、パイプラインから商談成立までの販売サイクルの予測と計画において営業チームを支援し、会社全体での販売予想を管理します。
 
Salesforce では、一連の商談の総積み上げに基づいて売上予測を計算します。売上予測金額は、期間、売上予測種別、調整、通貨などの要因によって決定されます。売上予測は、所有者、時間、売上予測分類、商品ファミリ、テリトリーといった一連のディメンションに対する通貨または数量の積み上げ考えることができます。
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商談標準項目に「フェーズ」があり、こちらはページレイアウト設定でも表示必須となっている、お馴染みの項目です。

各フェーズごとに 0% から 100% の確度が割り当てられており、 デフォルトでは確度の低い順に「コンタクト」~「最終交渉」とあり、最終的に「成立」か「ロスト」となります。

 

 

フェーズの値は「売上予測分類」とリンクしていて、確度が低い順から「パイプライン」「最善達成予測」「達成予測」となり、最終的に商談成立すると「完了」に、ロストすると「売上予測から除外」となります。

 

 

一定期間の商談を、売上予測分類ごと、かつ商談担当者ごとに集計し、金額を積み上げたのが「売上予測」です。

 

現行の売上予測機能は「コラボレーション売上予測」と呼ばれ、三代目のバージョンにあたります。

長い間、二代目の「カスタマイザブル売上予測」と並行して提供されていましたが、二代目がLightning Experience に対応していない関係から Summer '20 にて機能提供が終了となるため、今後は単に「売上予測」と呼んだ場合でも「コラボレーション売上予測」と同義になります。

 

コラボレーション売上予測
https://help.salesforce.com/articleView?id=forecasts3_intro.htm&type=5

 

コラボレーション売上予測とカスタマイザブル売上予測の違いは?
https://help.salesforce.com/articleView?id=faq_forecasts3_whats_difference_between_versions.htm&type=5

 

売上予測は Sales Cloud の根幹を成すメイン機能の一つのため、全てを取り上げると軽く数週間を要しますので、今回は Einstein 売上予測に直接関係する部分に絞ってお話を進めさせていただきます。

売上予測を構成する要素に「目標」と「期待収益」があります。

 

コラボレーション売上予測の要素
https://help.salesforce.com/articleView?id=forecasts3_definitions.htm&type=5

 

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目標
ユーザまたはテリトリーに割り当てられる、月別または四半期別の売上目標。マネージャの売上目標は、マネージャおよびチームに期待される金額の合計と等しくなります。目標の積み上げ集計はユーザおよびマネージャが手動で実行し、収益または数量のデータを使用できます。複数の売上予測種別を有効にしている場合、種別ごとに別々の目標情報が保持されます。各テリトリーの目標は、テリトリーとユーザに関連付けられます。

収益
ある分類に当てはまる商談の総期待収益。
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売上予測における「予想と実績の対比」では、完了予定日が今日より前の商談については、実績ベースの  目標と完了商談の金額対比  で行われますが、これから完了予定日を迎える未来の商談については、 目標と期待収益の金額対比  で予測を立てることになります。

商談における期待収益は、「商談金額 × 確度(%)」で自動的に算出されます。

つまり、売上予測における未来の期待収益は、商談担当者がどのフェーズを選択するか、システム管理者が各フェーズに確度をどれだけ割り当てたかによって決まってきます。

併せて、目標の設定も、過去の実績をレポートやダッシュボードで算出したうえで、商談チームのマネージャが各メンバーに対して行うことになります。

このこと = 商談担当者やマネージャ、およびシステム管理者の価値判断が介在することは、売上予測における「精度のバラつき」に繋がってきます。

 

この「精度のバラつき」に AI の機械学習と分析で対処するのが、「Einstein 売上予測」になります。

 

 

* Einstein 売上予測 - より精度の高い期待収益の算出とフェーズの追跡

 

Einstein 売上予測の定義について、いつものように公式ヘルプで確認してみます。

 

Einstein 売上予測の有効化
https://help.salesforce.com/articleView?id=einstein_sales_forecasting_setup.htm&type=5

 

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売上予測の精度を上げ、結果を予測し、営業チームの進捗状況を追跡する AI を装備したインテリジェンスを売上予測マネージャに提供します。
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今までは経験則頼りだったフェーズの管理と期待収益の算出を、AI により過去の完了商談を分析したうえで進行中の商談に予測を適用し、より精度の高い期待収益を算出し、フェーズ管理も Einstein の推奨に従って行う。

分析と予測を本分とする Salesforce Einstein に最適の機能と言えるかもしれません。

 

早速、リードスコアリング検証のために先週取得した Developer Edition 組織で Einstein 売上予測を有効化してみます。

 

 

Einstein 売上予測はあくまでもコラボレーション売上予測の拡張機能です。
まずはコラボレーション売上予測の有効化が必要です。

 

コラボレーション売上予測を有効化し、売上予測種別を設定しました。
Einstein 売上予測は「商談収益」に対してのみ有効なので、売上予測種別はデフォルトのままとします。


 

コラボレーション売上予測を有効化したので、Einstein 売上予測も有効化ボタンが押せるようになりました。

 

 

Einstein 売上予測を有効化しました。
パッケージが自動でインストールされ、アプリケーションの設定が始まりました。

最大 48 時間かかるとのことなので、明日出社したら確認することにしました。

 

 

翌日、売上予測タブを開いて確認しました。
新たに追加された「Einstein 予測」列に、月ごとの期待収益金額が華々しく表示されているはず・・・

 

・・・あれ?一向に表示される気配が無いんですが。

 

 

Einstein 売上予測の設定を再度確認してみます。

なんということでしょう。
「Einstein 売上予測 Analytics アプリケーションの作成で問題が発生しました」 エラーとなっています。

 

 

「詳細はこちら」を開くとヘルプに遷移します。

  

Einstein 売上予測の設定に関する考慮事項
https://help.salesforce.com/articleView?id=einstein_sales_forecasting_considerations.htm

 

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Salesforce で 24 か月以上商談を使用している必要があります。
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「24 ヶ月以上商談を使用」ですが、 「フェーズ変更などの項目履歴をきちんと伴った、リアルな2年間の商談の蓄積があること」 を意味します。

つまり、私が今回行った、「Trailhead で1週間前に取得した Playground 組織に、サンプルの取引先 / 取引先責任者 / 商談データを 200 ~ 300 件ほどデータローダで投入した」程度の環境では、いくら商談完了日を「いい具合に」分布するよう調整しても、Einstein 売上予測はピクリとも動かない、というわけです。

逆に言えば、今まで2年間しっかりと商談管理を行ってきたお客様組織ならば、以下の Salesforce 公式 YouTube チャンネルのデモ動画のように、Einstein 売上予測が奇麗に動くはず、ということになります。

 

Einstein Forecasting Demo
https://www.youtube.com/watch?v=lZvYR1r7utA

 

Sales Cloud: Einstein Forecasting
https://www.youtube.com/watch?v=Qk5pswO3Jys

 

 

上記動画をご覧いただいて「うちの組織でも Einstein 売上予測、使えるでしょうか?」とお思いになられたお客様いらっしゃいましたら、ご利用履歴とデータ使用量などから、Einstein 売上予測を導入した際の有効性について確認をさせていただければと存じます。

Einstein 売上予測に限らず、Sales Cloud Einstein は全般的に「過去データの十分な蓄積」が活用可否の鍵を握ってきます。

導入のご相談については、是非お気軽にお問合せくださいませ。

(弊社経由で Sales Cloud ライセンスをご購入のお客様に限定させていただきます、何卒ご了承ください。)

 

 

 

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全7回にわたってお送りしてきました Salesforce Einstein 企画、いかがでしたでしょうか。

「ポストコロナ時代」における、リモートワークの拡大をはじめとする「働き方の構造改革」にて、「自動化できる部分を見極める」ことが重要になり、今まではワークフロールールや Lightning フローなど主に「プロセスの自動化」に重きが置かれてきましたが、これからは AI を上手に活用した上での「分析の自動化」が大きな鍵を握ることになるはずです。

今はまだ発展途上のフェーズにありますが、3年後あたりにはきっと「Einstein 機能の活用」が Salesforce において当たり前になっているはずです。

もし関心がございましたら、ご一緒に「Salesforce の近い将来」を少しだけ先取ってみませんか。

 

予告いたしましたとおり、 来週からは3回に分けて「Salesforce のセキュリティ管理」について集中的に取り上げさせていただきます。

SAML などシングルサインオンについてのお話もさせていただく予定です。

そしてその次は、いよいよ Summer '20 の新機能紹介シリーズになります。

 

今後ともウフル カスタマーサポートを引き続きご愛顧いただきますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。


Salesforce・Googleの運用・サポートでお困りなら

 カスタマーサポートへお問合せください。


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