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2020.01.31 「知ってるようで知らない Service Cloud:(3) ナレッジの仕組みを知り、Service Cloud の中でどのように機能するかを理解する」

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2020.02.07 「知ってるようで知らない Service Cloud:(4)顧客がケースを登録するチャネルにどのようなものがあるか確認する」

 

お世話になっております。

ウフル カスタマーサポート Salesforce 担当の 後藤 でございます。

 

今週は先週にもまして不安定な気候で、 雪が降ったかと思えば翌日は最高気温18度、 体調を崩さないように気を付けるので精いっぱいです、 皆様も何卒ご自愛いただきますよう。

さて、新シリーズ「知ってるようで知らない Service Cloud」も第三回目になりました。

先週は「サービスコンソールの画面」 について説明をいたしましたが、あくまでも「入口」のため、 取り上げる内容にも限りがあり、 少々濃度の低い記事となってしまいました。(上司からも「 今週はちょっと内容薄いんじゃないの~?」 とお小言がありました!)

今週は「ナレッジ」についてです。 カスタマーサポートの現場では「生命線」 ともいえる重要な機能ですので、 濃度を高めでお送りさせていただきます。

 

* Service Cloud におけるナレッジの重要性

 

毎回お伝えしていることの繰り返しで恐縮ですが、Service Cloud とは「顧客とカスタマーサポート窓口を繋ぐ "窓口" の管理システム」ですので、 サポートエージェントの生産性と顧客の満足度を最大化にする施策 が最優先で求められています。

顧客から寄せられる問合せ内容は、 往々にしてある程度の類型化が可能なことが多いです。

例えば、コンピュータソフトを扱う会社ならば、「 製品のインストールに必要な PC のスペック」や「 インストール時に発生したエラーの一覧と対処方法」 のようなものです。

これらの「類型化した問合せ」に対して、 解決策を提示した文書が予め用意されていれば、 サポートエージェントは問合せに即答することが可能となり、 その文書が顧客に公開されていれば、 顧客は問合せを起票することなく解決が可能になる場合もあります 。

それにより、 問合せの工数が削減されることでサポートエージェントはより多く の問合せに対応できるようになり、 かつ顧客も解決までの時間が短くなることでサービス満足度も向上 します。

その「サポートサービスの質を向上させる文書」を、 Salesforce 上では「ナレッジ」と呼びます。

いつものように公式ヘルプから引用します。

 

Salesforce ナレッジ
https://help.salesforce.com/ articleView?id=knowledge_ whatis.htm&type=5

 

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Web サイト訪問者、クライアント、パートナー、 およびサービスエージェントに最上級のサポートツールを提供しま す。自社の情報を使用した知識ベースを作成して管理し、 必要な時に必要な場所で安全に共有します。

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ナレッジでできることを列記してみます。

  • サポートエージェントが、ケース(問合せ) の回答に添付して顧客に共有します。
  • カスタマーコミュニティにナレッジを公開し、 ケースを登録した時点で関連度の高いものを「推奨ナレッジ」 として表示し、 エージェントからの回答を待たずに解決できる可能性もあります。
  • コミュニティに対して「ゲストユーザアクセス」( ログインせずにコミュニティの情報参照を可能にする) を有効化し、 顧客以外の不特定多数にナレッジを公開することも可能です。
  • 顧客からの問合せに対して有効なナレッジが存在しなかった場合で も、サポートエージェントにナレッジ作成権限を付与することで、 その問合せの解決策を文書化し、 ナレッジとしての公開が可能になり、 今後同様の問合せがあった際により効率的な対応ができるようにな ります。

ナレッジのカバーする領域が拡張していく過程は、そのまま Service Cloud の進化であるともいえます。Service Cloud の始まりは、顧客からのメールをケース(問合せ) として取り込み、 エージェントがケースからメールで回答するというシンプルなもの だったことは、シリーズの第一回でお話をしましたが、 その段階ですでにナレッジの初期バージョンは存在していました。 とはいえ、 顧客はあくまでもメールに添付されたナレッジを参照するのみで、 顧客自身で一覧から検索したりということはできませんでした。

その後、「カスタマーポータル」が追加実装され、 顧客は自分の問合せをウェブ上から参照できるようになりましたが 、 その時点でナレッジを顧客自身がポータルを通して直接参照できる ようになりました。

更に、カスタマーポータルは「カスタマーコミュニティ」 に進化し、顧客は問合せを登録する途中に「推奨ナレッジ」 を参照することができるようになり、 前述のゲストユーザアクセスを設定することで、 顧客契約を行っていない不特定多数のユーザも、 ナレッジを参照することができるようになりました。

顧客目線だけではなく、エージェント目線で見ても、 従来はケース画面関連リストの狭いスペースにナレッジの検索フォ ームと添付ナレッジ履歴が出ていただけだったものが、 ケース画面およびサービスコンソールの改善に伴い、 ケースを登録すると( もしくは顧客によって作成されたケース画面を開くと) すぐに画面右側の目立つ部分に「推奨記事」 として表示されるようになり、 別画面で検索を行う手間から解放され、 より素早い解決策提示に大いに貢献します。

 

 

「説明」に書きこまれた「 クレジットカードで決済できなかった場合は~」の文言に対応し、 「クレジットカード」 というワードを含むナレッジが上位に表示されています。

問合せの内容に対して、 より精度の高いナレッジが上位に推奨表示されれば、 サポートエージェントはすぐに回答を返すことができ、 さらにユーザが問合せの登録時、 もしくは問合せ登録前に自身でナレッジを特定し、 自分自身で問題を解決できれば、その分の工数は浮くことになり、 エージェントは別の問合せの対応ができ、 顧客も本来の仕事に戻ることができます。

逆に、 エージェントや顧客に提示されたナレッジが適切ではないものだっ た場合は、記載された内容では問題が解決できず、逆に「手戻り」 が発生することもあります。

つまりは、Service Cloud の生産性向上は、ナレッジの質にかかってくる、 ともいえるわけです。

では、ナレッジが Service Cloud にどのように関わってくるか、 ナレッジの仕組みを通して確認していきましょう。

 

* ナレッジの構成要素とケースへの関連付け

 

ナレッジ自体は、取引先(企業)や取引先責任者(企業担当者)、 リードや商談、ケース(問合せ) のように独立した一つのオブジェクトになっています。

 

 

「サービス」アプリケーションを開いた画面です。 ナレッジ自体独立したタブを持っています。

新規ナレッジ作成画面を開いてみましょう。

 

 

一般的にナレッジは、「FAQ(よくある問合せ)」「How To(手順の説明)」「技術情報(不具合リストなど)」 のように、用途によってレイアウトを区別したり、 絞り込みリスト表示したりする使い方が多いため、 その場合はレコードタイプにて管理を行います。

今回はFAQを選んでみましょう。

 

 

タイトルなど必須項目には  *  が付与されています。

[URL 名] も必須ですが、タイトルの文字列がそのままコピーされます。

英語環境ならそのままでも構いませんが、 日本語の場合はエンコードを経て URL 文字数が無駄に肥大化してしまうため、 わかりやすい英語の文字列に修正した方がよいと思われます。

レコードタイプ「FAQ」の場合は、「質問」と「回答」 それぞれのリッチテキストエリア項目を設けました。

 

 

複数言語環境で運用している場合は、ページレイアウトに「言語」 を忘れずに表示しましょう。

ナレッジには自動翻訳機能はないため、 まずマスタ言語版で記事を作成し、 後から翻訳バージョンを追加する必要があります。

翻訳バージョンの作成依頼を社内で行えるよう、「翻訳申請」 機能が用意されています。

 

 

Lightning Knowledge の記事の翻訳
https://help.salesforce.com/ articleView?id=knowledge_ article_translation_lex.htm& type=5

 

ナレッジを保存する前に、公開対象を選択します。

デフォルトでは「内部アプリケーションに公開」 のみチェックされています。

「パートナーに表示」「顧客に表示」「知識ベースに公開」を、 公開レベルに合わせてチェックします。

(例えば、顧客への回答に添付するには「顧客に表示」、 ログイン不要でコミュニティに公開するには「知識ベースに公開」 をチェックします。)

記事を作成したら保存します。

但し、これで終わりではありません、 「公開」 という手順を踏む必要があります。

ナレッジは公開されて初めてケースへの添付や顧客への公開に使用 できるようになります。

 

 

「今すぐ公開」か「公開日をスケジュール」 のどちらかを選択できます。

キャンペーンの開始日に合わせて予めナレッジを作成しておいて、 一斉に公開するといった使い方も可能です。

さらにもう一工夫、公開ボタンをレイアウト上に表示せず、 承認プロセスや Lightning フローと組み合わせて、「レビューを経て承認されたら公開」 という仕掛けを組み込むことも可能です。 そちらの方がより現実的な使用方法ではないかと思われます。

 

記事のワークフローと承認
https://help.salesforce.com/ articleView?id=knowledge_ setup_wflow_approvals.htm& type=5

 

公開したら、サービスコンソールでケース(問合せ)を開き、 右パネルのナレッジ一覧から当該ナレッジが参照できるか確認して みましょう。

 

 

問合せの件名やコメントに含まれるワードによって推奨記事として 自動表示、もしくは検索機能によってナレッジを特定したら、 件名の右側にあるメニューから「記事を添付」や「 記事をメールに挿入」を選択します。

 

 

「記事を添付」を選択する前に「記事をメールに挿入」 した場合でも、問合せへの記事の添付は同時に行われるようです。 (「記事をメールに挿入」後に「記事を添付」を選んだところ、「 記事の添付が削除されました」とメッセージ表示されました)

「FAQ」レコードタイプのレイアウトに配置した「回答」 の文面がそのまま問合せのメール回答に挿入されるので、 回答の文面を予めメール回答を想定したものにしておくと、 サポートエージェントは文面の再構成をせずにそのまま顧客への回 答が可能になります。

 

* ナレッジのクオリティを向上させる検索機能の改善

 

さて、ここまでご覧いただいた方の中には、「 ケースに対する推奨記事の上位に来る条件」 について興味を持たれた方も多いのではと思われます。

問合せへの回答の精度をナレッジに依存する以上、 より的確なナレッジの推奨がカスタマーサポートのクオリティに大 きく関わってくるので、 推奨記事を上位表示する条件を把握しておくことは非常に重要です 。

ナレッジ検索の精度を上げるについては、 以下の公式ヘルプに一通りの記載があります。

 

記事検索機能の向上
https://help.salesforce.com/ articleView?id=knowledge_ search_improve.htm&type=5

 

基本的な記事検索およびナレッジ推奨ロジックでは、通常の Salesforce グローバル検索と同じアルゴリズムが使用されています。

その上で、「 このワードを使用した場合はこのナレッジが優先的に表示される」 ようにするため、「昇格済み検索語」の機能が提供されています。

必要に応じて、「昇格済み検索語」 を登録して検索結果の最適化を行うとよいでしょう。

 

検索結果の記事の昇格
https://help.salesforce.com/ articleView?id=promoted_ search_terms.htm&type=5

 

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キーワードを記事に関連付けて、Salesforce ナレッジの検索結果を最適化します。 このようなキーワードを検索するユーザには、 関連付けられた記事が検索結果で最初に表示されます。 昇格済み検索語は、 ユーザの検索に特定のキーワードが含まれている場合に、 よく使用される記事を強調表示してサポート問題を解決するのに役 立ちます。

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カスタマーサポートを一人で全てやっている会社でもない限り、 ナレッジの共有に掛かるウェイトは非常に大きく、まさに「 ナレッジを制する者がカスタマーサポートを制する」 と言っても過言ではないと思われます。

カスタマーサポート窓口を運用しているお客様、是非 Service Cloud を導入して、 強力なナレッジ機能を十二分に活用していただければ幸いでござい ます。

 

関連 Trailhead モジュール

「Lightning Experience のナレッジの基本」
https://trailhead.salesforce. com/ja/content/learn/modules/ lightning-knowledge-basics

 

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Service Cloud シリーズの第三回、いかがでしたでしょうか。

先週とはうって変わって「濃度の高い」記事となりましたが、 今回の記事でもまだ取り上げていない機能がナレッジにはあります ので、興味を持たれた方、公式ヘルプや Trailhead でご確認を頂けますでしょうか。

次週は原点に立ち返り、「顧客がケースを登録する動線」 について取り上げさせていただきます。

以前は Web フォームやメール経由のみでしたが、 今はより多くの動線が提供されていますので、 その辺りを重点的にご案内できればと存じます。

 

今後ともウフル カスタマーサポートを引き続きご愛顧いただきますよう、 何卒よろしくお願い申し上げます。

 


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