2020.02.14 「知ってるようで知らない Service Cloud:(5 - 最終回)その他の Service 機能、および Service Cloud の先にあるもの」
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2020.02.20 「Salesforce - Spring '20 新機能をチェック(1):Sales Cloud & Lightning プラットフォーム編(前編)」 ≫
お世話になっております。
ウフル カスタマーサポート Salesforce 担当の 後藤 でございます。
早いもので、今週末(日曜日の未明)、Spring '20 がリリースになります。
カスタマーサポート通信をスタートしたのが Winter '20 リリースの2週間前ですから、 それから4ヶ月少々経過したことになります。
継続は命と言いますか、 年末年始以外は毎週お送りしてきたわけですから、 振り返ると結構な量のナレッジベースとなり、 執筆者として感慨深い思いであります。
(今年に入ってからの記事をまだ Web に移行していないので、来週中に必ず実施させていただきます、 今しばらくお待ちください。)
さて、5週にわたってお送りしております「 知ってるようで知らない Service Cloud」シリーズ、今週で一旦区切りとさせていただきます。
(来週は Spring '20 の新機能をご案内する重要な任務がありますので!)
先週までは Service Cloud のコア機能をご案内してきましたが、今週は「 知ってると得する便利機能」についてお伝えいたします。
* 今一度、Service Cloud の基本機能を振り返る
先週までお送りいたしました Service Cloud の記事で、以下の機能について取り上げさせていただきました。
- サービスコンソール
- ナレッジ
- チャネル(メール、Web、チャット、SNS、コミュニティ)
各チャネルから入ってきた問合せを、 エージェントはサービスコンソールで確認して、 ナレッジを基にカスタマーに回答する、というのが Service Cloud の「基礎的な骨格」になります。
シリーズの最終回となる今回は、「肉付け」 となるその他の諸機能についてご案内をさせていただきます。
* Service Cloud の利便性を向上する諸機能
- メールのドラフト承認
エージェントもスーパーバイザーもエスカレーション先も一人で兼 任している「ワンオペサポート」でもない限り、 サポートデスクは通常「エージェント」と「スーパーバイザー」 に役割分担されているものです。
その場合、 エージェントが送信するメールの内容をスーパーバイザーが逐一確 認する必要も当然ながら生じるはずですので、エージェントによる 問合せへの回答について、 スーパーバイザーによる承認を経て初めて送信される仕組みがオプ ションで提供されております。
「サービスの設定」画面の [プロセスの自動化] - [サポート設定] を開きます。
「メールドラフトを有効化」チェックをオンにすることで、 ケースのメール送信に承認プロセスを組みこむことが可能になります。
ケースのメールドラフトの有効化
https://help.salesforce.com/ articleView?id=case_ interaction_enabling_email_ drafts.htm&type=5
メールドラフトの承認プロセスの作成
https://help.salesforce.com/ articleView?id=case_ interaction_approval_ processes.htm&type=5
メールドラフトを有効化すると、一般ユーザでは「送信」 ボタンの代わりに「承認申請」ボタンが表示され、 ボタンを押すと承認プロセスが呼び出されます。
(システム管理者など「すべてのデータの変更」 権限を持つユーザの場合は直接「送信」が表示されます)
スーパーバイザー(エージェントのマネージャ)が承認を行うと、 最終承認アクションに設定されたメール送信が自動で実行されます 。
- クイックテキスト
カスタマーサポートに限らず、 テキストベースのお客様対応においては、「定型文の使いこなし」 が、「時短」「標準化」の両面で非常に重要になります。
Service Cloud でも定型文の機能が「クイックテキスト」 という名称で提供されています。
クイックテキストの設定と使用
https://help.salesforce.com/ articleView?id=quick_text_ setting_up.htm&type=5
クイックテキストは3つの要素で構成されます。( クイックテキスト本体、共有先、チャネル)
クイックテキスト作成画面です。
差し込み項目(件名や担当者名など)は、 関連先と項目を選択してカーソルの位置に挿入します。
クイックテキストをどのチャネルで使用可能にするかを選択します 。
メール、チャット、SNS など、同じ内容でも言い回しを変えるのは常套手段ですね。
保存先フォルダを指定しますが、フォルダの共有設定によって、 どのチームに使用権限を付与するかをコントロールできます。
作成したクイックテキストを、各チャネルで呼び出します。
メールの場合は、 文面欄の上にあるツールボックスのアイコンをクリックします。
クイックテキストを呼び出すところです。
プレビューでは件名が「」という差し込み記号になっていますが・ ・・
メール本文に貼り付けると実際の件名が反映されます。
同じような機能は、 今までもメールテンプレートで提供されていましたが、 クイックテキストは「メール全文ではなく、 部分部分に対応している(組み合わせて使用可能)」「チャットや SNS など、メール以外にも対応している」面で Service Cloud ならではのものと言えます。
- マクロ
問合せ(ケース)管理は、数多くのタスクを伴います。
最適なナレッジの関連付け、顧客へのメール回答、 ケース状況の更新、技術部門へのエスカレーション・・・ などなど。
しかしながら、そのタスクも、 問合せの類型によって組み合わせを定型化できることが少なくない ものです。
そのタスクの組み合わせを定型化して、 ワンクリックで一括実行できるのが「マクロ」になります。
マクロの設定および使用
https://help.salesforce.com/ articleView?id=macros_def.htm&type=5
マクロを作成・編集するには、「マクロビルダー」 画面を使用します。
プレビュー画面(左)と設定画面(右)から構成されます。
特定の条件を満たした場合にアクションを実行させる場合は、 設定画面の「式のロジック」にて、"IF 条件のアクション" を設定します。必要に応じて "ELSE IF" (「条件1」に該当しなかった場合の「条件2」、さらに「 条件2」にも該当しなかった場合の「条件3」~)および "ELSE" (すべての条件に該当しなかった場合)も設定します。
もちろん IF - ELSE 条件を含まないマクロも作成できます。
「命令を追加」にて、マクロで実行するアクションを指定します。
例えばプレビュー画面で「メールテンプレート」 をクリックすると、 メール送信で使用するテンプレートを指定するダイアログが表示さ れ、「送信」をクリックすると「アクションを送信」 命令がセットされます。
(先述の「クイックテキスト」もアクションとして使用できます。 )
アクションの中には「元に戻せない」ものもあります。 メールの送 信はその最たるものになります。
誤って適切でないマクロを実行してしまったら、 取り返しがつきません。
そのため、 元に戻せないアクションについては画面上でアイコンにより識別さ れています。
元に戻せないアクションを含むマクロは、 プロファイルまたは権限セットで「 ユーザが元に戻せないマクロを管理」 権限が割り当てられたユーザのみが作成・編集・実行可能です。
誤ったマクロの選択によりメール誤送信などの事故を引き起こさな いよう、「元に戻せないマクロを管理」権限は、 適切なユーザのみに付与するのが賢明ですね。
元に戻せないマクロ
https://help.salesforce.com/ articleView?id=macros_ irreversible_macros.htm&type=5
その他、マクロの考慮事項は少なからずあります。
強力な機能だからこそ、より適切な運用が求められるわけです。
Lightning Experience でのマクロに関する考慮事項
https://help.salesforce.com/ articleView?id=macros_ considerations_lex.htm&type=5
余談ですが、マクロのキーボードショートカット割り当て機能も、 ちゃんと用意されています。
マクロとショートカットキーは切っても切れない関係ですので。
マクロのキーボードショートカット
https://help.salesforce.com/ articleView?id=macros_ shortcuts.htm&type=5
* Service Cloud の先にあるもの - Field Service Lightning
Sales Cloud 以上に多い機能が提供されている Service Cloud ですが、これで終わりではありません。
Service Cloud を土台とした拡張アプリケーションとして、 フィールドサービス支援ハブ、「Field Service Lightning」というものが提供されています。
Service Cloud のフィールドサービスソフトウェアおよびオンサイトジョブ管理
https://www.salesforce.com/jp/ products/field-service/ overview/
Field Service Lightning
https://help.salesforce.com/ articleView?id=fs_overview. htm&type=5
Field Service Lightning は、Service Cloud を更に発展させた形の、フィールドサービス( 点検や修理などの現場業務) を包括的に支援するプログラムになります。
Field Service Lightning を構成する要素は以下の3つです。
- Service Cloud コア機能
- フィールド技術者のスケジュールやスキルを社内で管理するコンソ ール
- フィールド技術者が携行するモバイルデバイス用アプリケーション
それぞれの構成要素も特色があり、Service Cloud コア機能においては「在庫管理」や「作業指示」など、 フィールドサービスならではの機能が強化されており、 モバイルデバイス用アプリケーションも、例えば「 深い山中でのダムメンテナンス作業」などにも対応できるよう、 オフライン機能が強化されていたりします。
もし、御社の業務において、フィールドサービスが重要なもので、 Salesforce との連携に関心ございましたら、 お気軽にご相談いただければ幸いです。
もちろん、「顧客対応を Salesforce でやりたいので、まずは Service Cloud について案内してほしい」についても、 遠慮なくお問合せください!
【関連 Trailhead モジュール】
Lightning Experience の Service Cloud
https://trailhead.salesforce. com/ja/content/learn/modules/ service_lex
Field Service Lightning の基礎
https://trailhead.salesforce. com/ja/content/learn/modules/ field_service_basics
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Service Cloud シリーズを5週にわたってお送りしてきましたが、 いかがでしたでしょうか。
機能が非常に多岐にわたるため、 フォローしきれていない部分もまだまだございますが、「 Service Cloud ってどんなものなのか」 を知る入口はご提供できたのではないかと思っております。
繰り返しになり恐縮ですが、不明点や「 ここをもうちょっと知りたい」というご要望ございましたら、 サポートまで遠慮なくお問合せください。
さて、今週日曜日未明、Spring '20 がリリースされますので、お伝えしました通り、 次回より3週にわたって新機能のご案内をいたします。
まずは第一弾「Sales Cloud & Lightning Platform 編」で、翌週に「Service Cloud 編」、最終週にその他の新機能(コミュニティや Pardot、 開発者向け機能などの中から標準的な組織にも関連するものを抜粋 )についてお送りする予定です。
今後ともウフル カスタマーサポートを引き続きご愛顧いただきますよう、 何卒よろしくお願い申し上げます。
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