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2020.02.07 「知ってるようで知らない Service Cloud:(4)顧客がケースを登録するチャネルにどのようなものがあるか確認する」

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2020.02.14 「知ってるようで知らない Service Cloud:(5 - 最終回)その他の Service 機能、および Service Cloud の先にあるもの」

 

お世話になっております。

ウフル カスタマーサポート Salesforce 担当の 後藤 でございます。

 

先週まで「暖冬だ暖冬だ」と繰り返し言っていたところ、 今週に入って「冬将軍が本気を出した」ようで、 全国的に一気に極寒となり、 北海道は3時間で1メートル近く積もる豪雪&マイナス30℃ となりました。暦の上では春のはずなのですが・・・ ニッポン試されすぎです。

ビジネスパーソンは身体が資本です、 皆様くれぐれも体調を崩されませんよう。

 

さて、お送りしております「知ってるようで知らない Service Cloud」シリーズもそろそろ佳境です 。来週には Spring '20 がリリースされ、 新機能をご案内するという責務がございますので。

先週までは「コンソール」や「ナレッジ」といった、"内側" の機能や設定についてお話をいたしましたが、今週は "外側" にあたる、「顧客が問合せを行うチャネル」 についてご案内をさせていただきます。

 

* 顧客がカスタマーサポートに問合せをする方法

 

一般的なヘルプデスク / コールセンター向け CRM では、最初から複数の問合せチャネルが提供されています。 定番なのは「電話 / メール / Web フォーム」あたりです。

Salesforce Service Cloud でも、最初はその3種類でスタートし、その後時流の変化に伴い、 次々とチャネルが追加されてきた経緯があります。

では、現在の Service Cloud にはどのようなチャネルがあるのか、確認してみましょう。

いつものように公式ヘルプから引用いたします。

 

Service Cloud のチャネル
https://help.salesforce.com/articleView?id=support_channels.htm&type=5

 

  • 電話
  • メール
  • Web フォーム
  • Web チャット
  • モバイルアプリケーション内機能
  • メッセージングアプリケーション
  • ソーシャルメディアネットワーク
  • ビデオチャット
  • コミュニティ
  • ヘルプセンター

 

一部例外はありますが、概ね上から順に「以前からあるもの ⇒ 後から追加されたもの」 とご認識いただいてよろしいかと思われます。

順に機能を見ていきましょう。

 

【電話(CTI 連携)】

問合せ窓口の基本ですね。

今のコールセンター CRM の主流は、「電話を受けたら自動的に顧客の画面に切り替わり、 シームレスに対応を開始できる」というものですが、 Service Cloud でも、企業で使用する PBX (構内交換機)や IP 電話システムと連携する機能が提供されています。

 

コールセンターからの電話
https://help.salesforce.com/ articleView?id=cti_channel.htm&type=5#cti_channel

 

これにより、

  • サービスコンソールの左パネルに IP 電話の画面を表示する
  • 企業担当者画面を開き、左パネルの IP 電話画面で [発信] ボタンをクリックするだけで、 電話番号をわざわざ入力せずに発信ができる
  • 電話がかかってきたら、 発信者の電話番号を基に企業担当者の詳細をメイン画面に自動表示 する
  • 受発信の記録はすべて活動履歴に自動で残される
  • (追加設定により)電話を取れなかった場合でも、 ボイスメモの内容を企業担当者の活動履歴に記録する

といったことが可能になります。

Service Cloud と電話システムを連携するために、 以前はオペレータが使用するデスクトップ PC ごとにアダプタプログラムをインストールする必要がありました。

しかし、PC 上で動かす以上、動作も安定せず、 機能を更新するためにソフトウェアの再インストールも必要になっ たりと、色々と支障があり、長い間「 すべてをクラウドで完結するシステムのリリース」 が待たれていました。

現在は「Salesforce Open CTI」のリリースによって、 クライアントソフトウェアのインストールをすることなく、 クラウド上での管理者設定だけで連携が完結するようになり、 動作の安定性も大幅に向上しました。

 

Salesforce Open CTI
https://help.salesforce.com/articleView?id=cloud_cti_api_overview.htm&type=5

 

連携プログラム自体は、電話システム提供会社から AppExchange の形式で提供されています。

現在お使いの電話システムが Service Cloud 連携に対応しているかどうか、 ご契約の会社様にお問合せされてはいかがでしょうか。

 

【メール(メール-to-ケース)】

こちらも電話同様「問合せ窓口の基本」です。

「メール-to-ケース」という機能を使用して、 特定のアドレスで受信したメールを Salesforce 側に転送し、ケース(問合せ)に変換します。

 

メール-to-ケースを使用したメールの送受信
https://help.salesforce.com/ articleView?id= customizesupport_email.htm& type=5#customizesupport_email

 

「転送してケースに変換する」仕組みには2タイプあります。

  • Salesforce 上のメールサービスに転送する 「オンデマンドメール-to- ケース」
  • 自社のメールサーバーに メールサービス用エージェントを組み込む 「メール-to-ケース」

それぞれ一長一短があり、例えばオンデマンド型の場合は「 25MB を超えるメールは受信できない」、 エージェント組み込み型の場合は「一日の上限が 2500 通まで」といったところです。( 詳細は上記ヘルプをご参照ください)

G Suite などのクラウドメールシステムを使っている場合、 必然的にオンデマンド型を選択することになりますし、 オンプレミスのメールサーバーを持っている場合でも、 転送設定さえできればオンデマンド型の方が設定も容易なので、「 25MB 以上のメールを受信できないのは困る」場合でもない限り、 通常はオンデマンド型を選択することになるかと思われます。

オンデマンドメール-to-ケースを有効化して設定すると、「 ルーティングアドレス」が自動生成されます。

予め用意したサポート用公開メールアドレスについて、 ルーティングアドレスに転送する設定を行い(G Suite の Gmail などなら数分で完了するはずです!)、 メールの件名がケースの件名に、本文がケースの詳細に、 送信元アドレスが取引先責任者(企業担当者) に紐づくかをテストします。

基本設定はこれだけです、実に簡単です。追加で「 特定ドメインからの受信のみ許可する」「 ルーティングアドレス毎に割り当てルールやエスカレーションルー ルを指定する」などを必要に応じて行います。

 

オンデマンドメール-to-ケースの設定
https://help.salesforce.com/ articleView?id= customizesupport_ondemand_ email_to_case.htm&type=5

 

もちろんエージェント組み込み型にもメリットはあります。「 25MB 以上のメールを受信できる」だけではなく、「 すべてのメールトラフィックが会社のファイアウォール内で保持さ れる」ため、 詳細な監査ログを管理できるといった利点もあります。

とはいえ、「エージェントを組み込む」のが一仕事で、Java 開発のスキルが必須になり、なによりも「 エージェントの組み込みは Salesforce サポートの 対象外」という点が少々ハードル高いです。(・・・ 申し訳ございません、弊社サポートでも対応できません、 どうしても必要な場合は「見積をお出しして開発案件として承る」 ことになります)

 

メール-to-ケースの設定
https://help.salesforce.com/ articleView?id=setting_up_ email-to-case.htm&type=5

 

 【Web フォーム(Web-to-ケース)】

Sales Cloud をお使いの方でしたら「Web-to-リード」 機能はご存知かと思われますが、あれの「ケース版」です。

会社の Web サイトに「お問合せはこちらから」ページを用意し、 Salesforce 側で生成された HTML コードを組み込むことで、フォームから送信された内容を Salesforce 上でケースに変換する機能です。

 

Web-to-ケースを使用した Web フォームの提供
https://help.salesforce.com/ articleView?id=customize_ casecapture.htm&type=5# customize_casecapture

 

自動生成される HTML コードは非常にシンプルで、Salesforce 上で設定した入力規則や選択リストの項目連動も反映されません。

スパム防止の「reCAPTCHA」(文字を見て入力する、 画像群から「車の画像」を選ぶ、といったおなじみの機能です) を有効化するかどうかの選択ができるくらいです。

 

スパムケースを防止するための reCAPTCHA の有効化
https://help.salesforce.com/ articleView?id= customizesupport_web_to_case_ enable_recaptcha.htm&type=5

 

Web フォーム上で入力規則などを設定するには、JavaScript を使って追加実装する必要があるため、最近の CMS (Web サイト構築管理) プログラムではスクリプトの GUI 上での構築機能が充実しているとはいえ、ある程度の HTML や JavaScript、CSS の知識も必要になると思われます。

とはいえ、素材がシンプルということは、 活用する方のスキル次第で如何様にも有効活用できるというのも事 実です。

一番多い加工の例が、「input type=hidden パラメータを使用して、問合せフォームに固定値を埋め込む」 というものです。

例として、ケースにレコードタイプを設定し、 レコードタイプごとに問合せフォームを分ける場合、[ value=] にレコードタイプ ID を記載します。

 

Web-to-ケース、および、Web-to-リードで hidden パラメータを使用する方法
https://help.salesforce.com/ articleView?id=000327328& language=ja&type=1&mode=1

   

【Web チャット】

Summer '12 で追加された、比較的新しいサポートチャネルです。

会社の Web サイトにチャットフォームを埋め込み、 エージェントはコンソールを通じて顧客とチャットで対話します。

 

Web サイトでの顧客とのチャット
https://help.salesforce.com/ articleView?id=live_agent_ intro.htm&type=5#live_agent_ intro

 

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Web チャットは 4 つの部分で構成されます。チャットコンソール、オムニチャネル、 組み込みサービス、Einstein ボットです。

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「チャットコンソール」がサポートエージェント側の画面、「 組み込みサービス」が顧客側の画面を制御します。

「Einstein ボット」は、人間(サポートエージェント) が対応するのではなく、AI (「アインシュタイン博士」)が今ま でのチャット履歴を学習した うえで自動対応します。まさに近未来ですね。

※ Salesforce Einstein AI が提供する機能群については、Spring '20 の新機能シリーズが一段落したら、 集中的に取り上げさせていただく予定です。

「オムニチャネル」は、 各チャネルから収集されたケースをエージェントに割り当てる際の ロジック管理に関するものですが、 本項の最後でまとめてご説明します。

 

【モバイルアプリケーション内機能】

【ビデオチャット(別名「Salesforce SOS」)】

上記チャット機能の「組み込みサービス」 をモバイルアプリケーション用にカスタマイズしたものです。

ついに「双方向ビデオチャット」も実現可能になりました。

 

モバイルアプリケーション用組み込みサービス
https://help.salesforce.com/ articleView?id=snapins_intro_ mobile_apps.htm&type=5

SOS ビデオチャットおよび画面共有の設定
https://help.salesforce.com/ articleView?id=sos_intro.htm& type=5#sos_intro

 

【メッセージングアプリケーション(モバイルデバイスの SMS および Facebook Messenger)】

スマートフォンのショートメッセージアプリも Service Cloud のチャネルとすることができます。

顧客は電子メールアドレスの代わりに、指定された電話番号に対し SMS を送信する、または Facebook ページにメッセージを送信し、ケース対応を開始します。

こちらも、Web チャット同様「オムニチャネル設定」が事前に必須となります。

 

Messaging
https://help.salesforce.com/ articleView?id=livemessage_ intro.htm&type=5#livemessage_ intro

 

【ソーシャルメディアネットワーク(SNS)】

インターネット上の森羅万象が SNS にリンクする時代ですので、当然 Service Cloud のチャネルにも SNS は大きく関わってきます。

文字通り、SNS の企業アカウントへの投稿やダイレクトメッセージをケースに変換 して、 エージェントがコンソールから回答するとそのままリプライになる というものです。

 

ソーシャルカスタマーサービス
https://help.salesforce.com/ articleView?id=social_ customer_service_overview.htm& type=5#social_customer_ service_overview

 

対応する SNS は以下の通りです。

  • Twitter
  • Facebook
  • Instagram ※
  • YouTube ※
  • Sina Weibo(パイロットリリース)

いわゆる「三大 SNS」(Twitter, Facebook, Instagram)には一通り対応していますが、 ちょっとした注意が必要です。

Service Cloud には標準で「Social Studio Starter Pack」が付属しており、2アカウントまで登録が可能ですが、 Instagram と YouTube は Starter Pack に対応しておらず、使用するためには Marketing Cloud の Social Studio ライセンスが必要となります。( もちろん3アカウント以上の連携でも Social Studio の導入が必須です)

とはいえ、最初は Twitter と Facebook を1アカウントずつという使い方が殆どだと思いますので、「 Instagram とも連携したい」「Twitter や Facebook の複数アカウントと連携したい」となった際に Social Studio ライセンスの購入を検討いただければよいでしょう。

 

【コミュニティ】

Salesforce と外部顧客/パートナーとのつながりを管理する機能は、 実はそれなりに長い歴史があります。

かつては「カスタマーポータル」「パートナーポータル」 という名称で、筆者(=後藤)が初めて Salesforce に触れた 2009 年の時点では、現在のカスタマーコミュニティ/ パートナーコミュニティのプロトタイプ的な機能は既に提供されて いました。

10年を経て、現在のコミュニティ機能はより充実して、以前は Visualforce を使用してコード開発が必須だったコミュニティ画面のデザイン構 築も、今では Lightning アプリケーションビルダーを使用して、 コーディング不要でより柔軟に対応できるようになりました。

コミュニティと Service Cloud の組み合わせは、「 限定した顧客にログインアカウントを付与して、 よりセキュアかつ高機能なサービスの提供を行う」 際に関係してきます。

例えば「ログインすると過去の問合せ履歴が一覧参照できる」 といった機能は、コミュニティライセンスが必要となります。

Community Cloud についてもいずれカスタマーサポート通信で集中的に取り上げさせ ていただく予定です。

 

カスタマーコミュニティでのコラボレーション
https://help.salesforce.com/ articleView?id=support_ communities.htm&type=5

 

 

* 「オムニチャネル」って、何?

 

さて、上記の各チャネルの説明で何度か出現した「 オムニチャネル」というワード。
恐らく初めて聞く人も多いと思われます。

困ったときは公式ヘルプを見るのがお約束です。

 

オムニチャネル
https://help.salesforce.com/ articleView?id=omnichannel_ intro.htm&type=5#live_agent_ intro

 

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オムニチャネルにより、 作業要求を最も的確で対応可能なサポートエージェントにコンソー ルで転送します。Omni-Channel Supervisor を使用してリアルタイムのオペレーショナルインテリジェンスをサ ポートスーパーバイザに提供することもできます。

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うーん、わかったようでわからない。
もう少し深堀りしてみましょう。

システム管理者向けのオムニチャネル
https://help.salesforce.com/ articleView?id=service_ presence_intro.htm&type=5# live_agent_intro

 

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オムニチャネルを使用して作業項目の優先度を管理すれば、 重要な作業項目をエージェントにすばやく簡単に転送できるように なります。 作業項目を受け入れるエージェントの業務量を管理して、 処理可能な数量のみが割り当てられるようにします。また、 各種の割り当てにどのエージェントが対応するかも定義できます。

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少しわかってきたような気がします。

要は、 エージェントごとのスキルレベルや現在進行中のタスクの業務量を 考慮し、 現時点で余力のあるエージェントに自動でケースを割り当てたり、 チャネルごとに対応可能なエージェントを割り当てたり(例えば A さんは電話とメールのみ、B さんはビデオチャットとソーシャルアカウントも対応可能、など) 、その割り当ての監視をスーパーバイザが実行しやすいように「 Omni-Channel Supervisor」機能が提供されている、 ということになります。

Omni-Channel Supervisor
https://help.salesforce.com/ articleView?id=omnichannel_ supervisor_intro.htm&type=5# live_agent_intro

 

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Omni-Channel Supervisor を使用すると、 オムニチャネルによって転送された作業項目の状況とエージェント の作業負荷を監視できます。エージェントは、 スーパーバイザの支援を要求するときに、 作業項目のフラグを有効化できます。スーパーバイザは、 エージェントと顧客の会話を監視し、 サポートエージェントにのみ表示される有用なメッセージを送信で きます。また、スーパーバイザは、 必要に応じてキューを変更して受信サポート要求に応答したり、 エージェントスキルをすばやく更新したりできます。

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とはいえ、オムニチャネルの機能が必要になってくるのは、Web チャットや SOS、ソーシャルアカウントなどが関わるときで、 電話とメールのみで対応する場合は必須ではありません。

大規模かつマルチチャネルなサポートセンターの運用ではない限り は、まずは基本的な電話&メールのみでスモールスタートして、 他のチャネルが必要になった時にオムニチャネルの導入を検討する 、で不足はないと思われます。

 

【関連 Trailhead モジュール】

Lightning Experience の Service Cloud

https://trailhead.salesforce. com/ja/content/learn/modules/ service_lex

 

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Service Cloud シリーズの第四回、いかがでしたでしょうか。

今回の記事を執筆するため、自分自身 Trailhead の該当モジュールを進めたり、 不明点を公式ヘルプやデモ組織での実演で事細かく調べたり、 かなりのハードワークとなりました。

ユーザの皆様においては「こんな機能があるんだ、 自社の運用に役立つかもしれない」 くらいのご認識でも十分ですので、 もし興味がありましたらお気軽に弊社サポートや営業までお問合せ いただければ幸いでございます。

次回で Service Cloud シリーズは一旦完結し、翌々週からは皆様お待ちかねの Spring '20 の新機能紹介をお送りいたします。

 

今後ともウフル カスタマーサポートを引き続きご愛顧いただきますよう、 何卒よろしくお願い申し上げます。

 


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