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2019.12.6 「Salesforce ビジネスプロセス自動化ツールを活用しよう(3) - プロセスビルダーを活用して既存の承認プロセスも整理してみましょう」

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2019.12.12 「Salesforce ビジネスプロセス自動化ツールを活用しよう(4) - Lightning フロー入門(その1:フローの概念を理解する)」

 

お世話になっております。

ウフル カスタマーサポート Salesforce 担当の 後藤 でございます。

 

先々週よりお送りしております「Salesforce ビジネスプロセスの自動化ツール」、今回はその第3回、 先週お送 りした「混在したワークフロールールをプロセスビルダーで置き換えて整理 するケーススタディ」のバリエーションとして、「肥大化した承認プロセスについても、 プロセスビルダーと絡めることで整理が可能になる」についてお送りします。

 

 

1.おさらい:承認プロセスについての再確認

 

今まで「ワークフロールール」「プロセスビルダー」「Lightning フロー」については詳しく触れてきましたが、「承認プロセス」については、「ワークフロールールのバリエーション」 とだけ説明して、 機能の詳細に比べてはあまり詳しく触れてきませんでした。
今回の本題に入る前に、改めて「承認プロセスとはどのようなものか」を再確認してみましょう。

 

【承認プロセスとは】

 

Salesforce 公式ヘルプ「承認」からの引用

 

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プロセスの自動化については、 ワークフロールールという形ですでに慣れているものと思われます 。承認機能では自動化をさらに一歩進めて、 レコードの承認に必要な一連のステップを指定できます。
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「ワークフロールールのバリエーション」というのは、 実は公式ヘルプの言い回しを少々変えたものでした。
ワークフロールールは「条件(if)とアクション(then)」の組み合わせで構成され、承認プロセスでもそれは共通ですが、 承認プロセスの場合は以下の違いがあります。

 

<プロセス開始のタイミング>
  • ワークフロールール: 条件を満たす更新にて「保存」ボタンが押されたタイミング
  • 承認プロセス: レコードの「承認申請」ボタンが押されたタイミング
<アクションが実行されるタイミング>
  • ワークフロールール: 保存後すぐ、もしくは設定したスケジュールに基づく
  • 承認プロセス: 最終承認がされた時点ですぐ(スケジュール設定は不可)
レコードを保存したタイミングですぐに承認プロセスが起動するわ けではありません。あくまでもユーザによって「承認申請」が押されたタイミングです。

 

承認申請には、更に「承認者」「ステップ」という概念があります。
「承認者」は、文字通り「申請をしたら誰に割り当てられるか」で、大きく3パターンに分けられます。

 

<承認者のパターン>
  • ユーザ設定の「マネージャ」
  • プロセス内でユーザ名を直接設定する
  • 申請者が承認者を自由に割り当てる、 もしくはレコードのユーザ参照項目値
一般的な承認申請の場合は「マネージャ」を割り当てます。 つまり申請したら直属の上長に自動で割り当てられるというもので す。

 

 

 
 
申請者に「マネージャ」を割り当てるメリットは、「一つの承認プロセスで組織全ユーザをカバーできる」という点です。

 

一方「ステップ」は、「何段階の承認で最終承認とするか」を定義するものです。
例えば、 経費申請で以下のようなパターンがよくあると思われます。
  1. 5,000 円未満の少額出金はマネージャの承認だけでOK
  2. 5,000 円以上 50,000 円未満の場合は部門長の承認まで必要
  3. 50,000 円以上の場合は本部長の承認も必要

 

 

 

 
この場合、3段階のステップを設定することになります。
まず申請が行われるとすべてのケースでステップ1.に入ります。
マネージャが承認を行うと、ここで「5,000 円以上か否か」の「if」が評価されます。
5,000 円未満の場合、ステップ2.に合致しないため、次のステップ3. に進み、ここでも合致しないため、 すぐに最終承認済みとなります。
5,000 円以上だった場合(50,000 円以上の場合も含む)、ステップ2.に進み、「部門長」に申請が行われます。

 

先ほど「マネージャを承認者にするのが一般的だ」と申し上げましたが、マネージャにあたるユーザの設定で、「マネージャ」の欄に「部門長」を指定することで、「 マネージャのマネージャ=部門長」となり、 特にプロセス設定内で部門長の名前を指定することなく、 自動で部門長が承認者となります。( 部門長と本部長の関係も同様です)

 

 

つまり、「ユーザ設定のマネージャを承認者とする」プロセスならば、たとえステップが5段階も6段階も、最終的に CEO の承認まで必要とするような承認プロセスでも、 一つのプロセスで全社をカバーすることができるわけです。

 

しかしながら、往々にして「ステップごとに単純に階層を上がっていく」だけの承認プロセスでは全体をカバーできないのが、 会社組織というものです。
社員数名のスモールオフィスなら上記の基本的な承認プロセスでカ バーできると思いますが、多ジャンルの商材を扱っていたり、 案件の条件によっては直属の上長以外の承認が必要だったりする場 合など、多くの企業では「そうもいかない」のが実情です。
その場合、承認者も「ユーザ情報のマネージャ設定」ではなく、 担当者を承認ステップ内で直接指定する必要があったり、 承認プロセスは漸次的に複雑になっていきます。
しかも、頻繁に組織変更がある会社では、 もし部署ごとに条件を分けた承認プロセスを設定していたならば、 組織変更ごとに承認プロセスの修正や、 新規プロセスの設定が発生して、最終的には

 

「承認プロセス設定が、誰も手が付けられない "伏魔殿" と化す」

 

という結末が待っています・・・。

 

・・・その状況、もしかしたら、 プロセスビルダーを組み合わせれば解決できるかも?

 

2.プロセスビルダーに承認プロセスを組みこむ

 

前回の「ワークフロールールをプロセスビルダーで置き換えましょう」の項でプロセスビルダーの実行アクションについて触れた際に、「関連レコードの更新もできる」「Chatter 投稿もできる」など、 プロセスビルダーの利点をいくつか挙げましたが、 実はそれだけではないのです。

 

プロセスビルダーは、 実行アクションとして承認申請を呼び出せます!

 

 

これによって、「伏魔殿と化した承認プロセス群」をどのようにしてスリム化できるか、について、 以下のようなアイデアを提示させていただきます。
  • 「例外的な承認プロセス」を、「どうしても承認者を固定して指名しなければいけないもの」だけに絞り込んでおき、 かつ承認プロセス内での複雑なステップ分岐は一切排除します。( これにより有効承認プロセスの数もかなり整理できるはずかと思われます
  • 「直属のマネージャに申請する」だけの承認プロセスを、組織のデフォルトの承認プロセスとして設定します。
  • カスタムチェックボックス項目「基本承認済み」を読み取り専用で作成し、直属のマネージャ承認が完了したら、最終承認時の項目自動更新アクションにて、 チェックがオンになるようにします。
  • プロセスビルダーを作成し、 上記チェックボックスがオフからオンになったときだけに動作するように設定します。これにより、 基本的な直属マネージャ承認が完了した際にプロセスの評価が開始 されます。
  • プロセスビルダーの条件分岐設定は、 より例外度の高いものを上位の分岐に配置するようにして、条件に合致したものをそれぞれの承認プロセスに割り当てていきま す。
  • 最後にどの例外条件にも合致しなかったものを、先述の「マネージャ ⇒ 部門長 ⇒ 本部長 ~」という「次々と上位マネージャに割り当てていく」 承認プロセスに割り当てるようにします。
この設定によるメリットは以下の通りです。
  • 後から組織の変更などによって承認プロセスのメンテナンスが必要 になった場合、承認プロセス全体を見直す必要はなく、 あくまでも  「例外的な部分を司る」承認プロセスだけを見直せばよく、 条件分岐もすべてプロセスビルダー側で管理する  ため、 いちいち承認プロセスの細かいステップを見直す必要がなくなる
  • 直属マネージャの承認が済んだものが上位の承認で却下された場合 、従来の場合は全て差し戻しになり、 直属マネージャの承認からやり直しになるところが、このように「 基本」と「上位」を別の承認プロセスに分けることで、 既に基本承認が完了したフラグを参照して、再申請した場合は  基本承認を飛ばしていきなり上位承認から開始する  ことができる
しかし以下のような制限もあります。
  • 「基本承認プロセス ⇒ プロセスビルダーによる条件分岐の管理 ⇒ 条件に合致した上位承認プロセス」の形態をとる以上、 いかなる場合でも  基本承認プロセス = 直属マネージャの承認  が全体のトリガーとなる必要がある
とはいえ、「直属マネージャの基本承認」は、 どの承認プロセスでも大抵必須だと思いますので、 この点はあまり問題にはならないと考えられますが、 如何でしょうか?

 

もし「 伏魔殿と化した承認プロセス」にお困りで、上記の「大掃除アイデア」にご関心ございましたら、 ぜひサポートまでご連絡ください、 お客様組織の実際の設定に即した形でのアイデアを提供させていた だきます。
(お問合せが多いようでしたら、 カスタマーサポート通信の記事で後日「ケーススタディ」として改めて取り上げさせていただきます!)

 

<関連ヘルプ>
プロセスからのレコードの承認申請

 

プロセスビルダーで承認プロセスが正常に起動しないのはなぜです か?

 

<Trailhead>
Lightning フロー > 承認でレコードが承認される方法をカスタマイズする

 

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ビジネスプロセスの自動化ツールに関するシリーズの3回目、 いかがでしたでしょうか。
今回の記事は、実際にお客様から頂いた「承認プロセスが肥大化してしまったのを、 何とかできないでしょうか」とのお問合せにインスパイアされて執筆いたしました。
この記事が一社でも多くのお客様のお役に立つことを願っておりま す。

 

さて、次回はお待ちかねの「Lightning フローを使って高度な自動化を実装する」となります、 皆様のご期待に沿えるような力作にできるよう頑張って執筆にあた らせていただきます。

 

今後ともウフル カスタマーサポートを引き続きご愛顧いただきますよう、 何卒よろしくお願い申し上げます。

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