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2024.5.17 「Salesforce - ついに確定しました、ワークフロールールとプロセスビルダーのサポート終了 ~ フローへの移行を検討し始めるタイミングです」

 

お世話になっております。
ウフル カスタマーサポートでございます。

 

今までの記事でも「ワークフロールールおよびプロセスビルダーはいずれ廃止されます、新規の自動化プロセスは全てフローで作成し、既存のワークフローおよびプロセスもフローへの移行を検討しましょう」とご案内をしておりました。

直近のフローに関する記事はこちら↓

 

2024.3.8 「Salesforce - Spring '24 でさらに強化された "画面フロー" でコード不要の高度な画面構築にトライしてみましょう」
https://csminfo.uhuru.jp/hc/ja/articles/29564443208473

 

ワークフロールールやプロセスビルダーからの新規作成は Winter '23 (2022年9~10月)で無効となり、その後新規ご契約の組織ではメニュー自体が無くなっていますが、既存の組織についてはそれまでに作成したワークフロールールやプロセス設定は有効なまま残っており、条件の変更などの編集は可能な状態でしたが、先日(3月5日)公式ヘルプにて、ついにサポート終了が明言されました。

 

 

ワークフロールール&プロセスビルダーの廃止、フローへの一本化

 

ワークフロールール & プロセスビルダーのサポートの廃止
https://help.salesforce.com/s/articleView?id=001096524&type=1&language=ja

 

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Salesforce は、2025 年 12 月 31 日にワークフロールールおよびプロセスビルダーのサポートを廃止する予定であり、それまでにオートメーションを Flow Builder に移行することをお勧めします。

ワークフロールールおよびプロセスビルダーのサポートをなぜ廃止するのか不思議に思われることでしょう。Salesforce は、Flow Builder のモダンで拡張可能なローコードオートメーションソリューションに開発を集中させたいと考えており、そのため以前の機能のサポートを廃止することになりました。

もし行動を起こさなかったらどうなりますか?
2026 年以降、ワークフロールールおよびプロセスビルダーは引き続き機能し、既存のオートメーションを実行することができますが、カスタマーサポートは提供されず、問題も修正されません。
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Salesforce の自動化ツールの歴史は、大きく3つのフェーズに分けることができます。

 

【第一フェーズ】
ワークフロールール:標準機能
Apex トリガ:コード開発機能

 

【第二フェーズ】
ワークフロールール&プロセスビルダー:標準機能
(プロセスビルダーは、ワークフロールールでは制限上出来ない「関連レコード作成」「Chatter に投稿」などの機能を追加した「次世代の自動化ツール」として登場した)
Apex トリガ:コード開発機能

【第三フェーズ】
ワークフロールール&プロセスビルダー:コードを伴わない標準機能
フロー:標準と開発の間を埋めるもの、いわゆる「ローコード開発
Apex トリガ:純然たるコード開発機能

 

Salesforce の自動化ツールの登場経緯について、4年半前の記事ですが、こちらがご参考になるかと存じます。

 

2019.11.22 「Salesforce ビジネスプロセス自動化ツールを活用しよう(1) - どのような自動化ツールがあるかを再確認してみましょう」
https://csminfo.uhuru.jp/hc/ja/articles/900000072003

 

ワークフロールールは「システム管理者が簡易的な業務の自動化を設定する」ためのツールで、それゆえに制限も非常に多かったです。例えば「子レコードの編集により親レコードの日付項目に今日の日付を設定する」という、普通に使われそうな項目自動更新も、主従関係でないと出来ないという制限がありました。
それを根本から解決するためにプロセスビルダーが提供され、今までワークフロールールではできなかったことのかなりの部分が実現可能になりました。
その一方で、今まで Apex トリガでコードを書かないと実現できなかった、関連レコードの一括更新や削除といった高度なデータ制御についても、プロセスビルダーとほぼ同時期に提供された「Force.com Flow」、つまり今フローと呼ばれるもののプロトタイプ的なものにより、コードの作法を知らないユーザでも Apex トリガの対応領域にまで着手することが可能になりました。

 

それにより、ワークフロールールとプロセスビルダー、プロセスビルダーとフローの間に "機能面のクロスオーバー" が起き、結果として「作成したプロセスの分散化」が発生して、メンテナンスの妨げの一因になってしまったわけです。
「あれ、この自動化処理って、プロセスビルダーで作ったっけ、それともフローだっけ?」的な話、お客様の組織でも発生していませんでしょうか。

 

Salesforce サクセスナビ:ワークフロールールのフローへの移行について
https://successjp.salesforce.com/article/NAI-000531

 

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Salesforceには現在ワークフロールール、プロセスビルダー、フローの3つの自動化ツールがあります。自動化機能が複数のツールに分散している点は、今後メンテナンス性とイノベーションの両方を妨げる可能性があります。
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Salesforce としても、古い基盤で作られたワークフロールールをいつまでもメンテナンスをするのは得策ではありませんし、プロセスビルダーとの機能重複にしても、ユーザーの生産性の妨げを改善したいという名目と同等に、「フローに統合できればその分バージョンアップの度のメンテナンスからも解放される」というメリットがあるので、できるだけ早くサポートを終了したいという意図はあったはずで、様々な見通しがついたので、今回の「サポート終了、フローへの一本化」となったのではと考えられます。

 

さて、サポート終了とはいえ、期限が来たらいきなりワークフローやプロセスが機能しなくなるわけではないです。
先述のヘルプの引用通り、「動作は今まで通りしますが、何らかの問題が発生した際にカスタマーサポートへの問合せ、および修正パッチの適用などの対応がされなくなります」とのことです。

 

では、具体的にどのようなアクションを取っていけばよいのでしょうか。
ポイントとなるのは、以下の2点です。

 

  • 既存のルールやプロセスをフローに変換する
  • 新規フロー作成時に、既存のワークフロールールやプロセスビルダーの機能がフローでどのように用意されているかを確認する

 

今回は「既存のルールやプロセスをフローに変換する」について取り上げます。
新規フロー作成時の機能確認については今後近日中にフォローいたします。

 

 

既存のルールやプロセスをフローに変換する

 

Winter '23 (2022年9月~10月)リリースでは、ワークフロールールとプロセスビルダーの新規作成ができなくなりましたが、既存のルールやプロセスの編集(条件やアクションの追加や変更)はまだ可能となっております。
2025年末のサポート終了にて、既存のルールやプロセスの編集もできなくなる可能性は非常に高いです。そうなると恐らく表示されるメニューは「有効のチェックを外す」(一旦外したら再度有効化できなくなる)のみになるのではないかと想像できます。
そうなった場合、ルールやプロセスのメンテナンスをどうするかについてですが、既報の通り「既存のルールやプロセスを一旦フローに変換し、フロービルダー上で編集を行う」方法を取ることになります。

 

実際に既存のワークフロールールをフローに移行してみましょう。
商談に受注フラグが立った時に「受注予定日」の日付を「クローズ日」にコピーするというシンプルなワークフロールールです。

 

 

 

変換したいワークフロールールにチェックを付けて「フローに移行」ボタンをクリックします。

 

 

フローが正常に作成されました。

 

 

移行先フローが「生成されたフロー」に表示されます。

 

 

では、生成されたフローを見てみましょう。

 

元がシンプルなものでしたので、作成されるフローも「一目見ただけで何が起こっているか」簡単にわかるものになっています。
フローに不慣れな方でしたら、変換されたフローを見て「ワークフロールールとの関連性」からフローの学習に着手してもよいかもしれません。

 

フローへの変換機能は、ベータの時点では制限事項も多く実用性に乏しかったですが、Winter '23 の正式リリースの時点で、大部分の制限事項を解消し、だいたいのワークフロールールなら問題なくフローに変換して即有効化できるレベルにまでなりました。

 

Winter '23 リリースノート
[フローに移行] ツールを使用したフローへのワークフロールールの変換 (正式リリース)
https://help.salesforce.com/s/articleView?id=release-notes.rn_automate_flow_mgmt_migrate_to_flow_tool.htm&release=238&type=5

 

但し、制限事項が無くなったわけではなく、一部条件やアクションについては対応していないものがああります。「フローに移行」メニューでも「エッジケース」と表現されているものになります。
その場合は、移行先フローで条件やアクションを手動で追加することになり、もしくは場合によっては移行ツールの使用を諦めて最初からフローを作成する必要があるかもしれません。



[フローに移行] ツールに関する考慮事項
https://help.salesforce.com/s/articleView?id=sf.migrate_to_flow_tool_considerations.htm&type=5&language=ja

 

よくありそうなものは以下の通りです。

  • 関連項目の値参照、および数式のクロスオブジェト参照は移行できません。
  • 条件演算子の「〇〇を含まない」は移行できません。
  • 日付項目の相対日付値(「n日前」など)は移行できません。

これらの値や条件を含む場合は、作成されたフローを編集画面で開き、条件を確認して修正した上で有効化し、挙動テストを行う必要があります。

 

むしろ、「移行したフローは確認とテストが必須」と最初から割り切って、作業工数の中にテストと修正も最初から盛り込んだうえで、余裕を持ったスケジュールにて移行プロジェクトを進めるのが賢明かと思われます。
あと、思わぬ落とし穴なのですが、以前のワークフロールールやプロセスはきちんと無効化した上で、移行したフローのテストに着手することも重要です。
バッティングによって思わぬエラーが出ることもありますし、想定通り動作しなかった場合もどちらが原因かを切り分けるために、移行したらすぐに古いルールやプロセスは無効化してください、移行ツールは古いルールやプロセスを自動で無効化はしてくれませんので。

 

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ついに確定した「ワークフロールールとプロセスビルダーの廃止」ですが、「フローに移行」ツールはベータの時とは比べ物にならないくらい精度も増しましたし、フロー機能自体がバージョンアップの度にどんどんフレンドリーになっていくので、きちんと時間を掛けて段階を踏んでいけば、案外恐るるに足りないものかもしれません。
但し、「サポート終了は一年半も先のこと」と放置しちゃうと、一年半ってあっという間ですので、備えは今から着実に進めておいた方がよいとは思います。

 

ご不明点は遠慮なくご相談ください。
今後ともウフル カスタマーサポートを引き続きご愛顧いただきますよう、 何卒よろしくお願い申し上げます。

 


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